第四章:『波乱の中間試験』(後編)

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直人達が竜也の部屋で勉強をしているその頃、一人ギルドへ向かうことになった真友香は…… ギルド『ディオサ・プリエール』の地下に来ていた。 コンコン… 「真友香です」 「お~、開いてるぞ~」 ノックして名乗る真由香に中から女性の声が聞こえてきた。 返事を聞いた真友香は挨拶しながら扉を開けて中には入りすぐさま扉を閉める。 その先にいたのはこの部屋の住人であり、真友香のギルドメンバーでもある女性がナイフをライトに翳しながら刃先を確かめるように眺めていた。 「美咲さん…できたんですか?」 その女性に真友香は慎重に喋りかける。 だが、美咲という女性は黙ったままナイフを眺め、そして台に置いた。 「ん~!一般論からして、できたといっちゃぁできたが、あたいからしたらまだ未完成だ」 「まあ、そうでしょうね 『アクア・クッション』」 伸びをしながら答える美咲に真友香は水陣魔法で椅子を創り出してそこに座った。 「お!分かってきたじゃねえか! あたいの考えが『武器は持ち主と一体と化してこそ完成となる』ってのがさ」 「あはは…」 自信げに語る美咲に真友香は苦笑を浮かべながら美咲の作ったナイフに視線を移す。 「それにしてもよ~今回の依頼は流石にむずかったぞ… 『魔力無しの人間が魔力有りの人間の身体能力についていける武器』ってのはよ」 そうナイフ制作に当たっての感想を述べながらバンダナを外す美咲、その外れたバンダナからボーイッシュな髪が解けるように首にかかる。 (もっと自身を持って積極的になれば結構モテるのになぁ~ 素材はいいんだから…) バンダナを外した美咲を見ながら真友香は思う。 美咲…本名『春ヶ崎 美咲(ハルガサキ ミサキ)』、年齢は19歳で『狼苑学園』の大学に在籍中 ランクはCだが、天才と言われるほどの鍛冶師としての才能を持っており、ギルドに所属している彼女への武器や防具の製作及びメンテナンス依頼が後を絶たない。 そして彼女の顔付きや体つきは確かに真由香の言うとおりモテ顔などと言われそうである。 だが、本人はそのような自身は皆無であり、いつもタンクトップにツナギと言った格好をしてギルドの地下の彼女の部屋にいるのだ。 ついでに言うと彼女はボーイッシュな喋り方をするものの結構シャイである。
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