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「ちなみに、どうやって解決したんですか?」
真友香は話を続けようと先程美咲が難しいと言っていたナイフの性能の解決方法を尋ねる。
半ば少し興味津々な真由香に美咲は苦笑を浮かべながら引き出しを開けて中にしまってあった光る石を取り出した。
真由香はその石を見て驚いたように立ち上がる。
「それって魔法石ですよね!?
どうしてそんな高価なものを…」
「当ったり~!
たまたま仕入れてて、一応試作で作ってみたんだ」
驚く真友香に対して美咲はその問に対する答えより先に自慢げに話す。
『魔法石』
シャルムで近年発見された発光する石で注ぎ込まれた魔力を元に石それぞれが持つ固有の魔法が使える石
普通、他人の魔力を使うことはできないこの世の中で、唯一且つ初の例外である。
ちなみにかなり高価
「ってことは実験ってことで譲り受けたの?」
「そういうこと」
だが、真友香はそのやりとりだけでどうやって美咲が魔法石を手に入れたかを理解した。
つまり製作実験とモニター役として選ばれ、そのために魔法石を譲り受け、そしてその一部を彼女はナイフに組み込んだのだ。
「あ、そうそう
そういうことだしお代はいいぞ
その代わりしっかりモニター役頼んだ」
「え…あ…うん
わかった、そう伝えとくね」
気前のいいことを言う美咲に真友香は一瞬戸惑いながらも頷いてナイフを受け取り、ナイフカバーにしまってカバンに入れる。
「さって!あたいは寝るとするか!」
それを確認した美咲はそう言いながらいきなりタンクトップとツナギを脱ぎ出す。
その突然な行動に真友香は思わず目を丸くして一瞬どうしようか迷う。
それもそのはず。
美咲はタンクトップの下には何も着ていなかったのだ。流石にツナギの下は履いていたが…
(読者の皆さんはわかっているとは思われるが、一応言っておくと、ここは男子禁制女性オンリーのギルド『ディオサ・プリエール』の地下である)
「ちょっ!美咲さん!?
いきなり脱がないでください!あと何か着てください!せめて下着!」
「え~…そのほうが楽だし…ここには女子しか…来な……い……し………ス~」
「そういう問題じゃ…ってもう寝てる…」
その自由奔放な美咲の行動に色々と真友香はつっこみたいところだが、今は休ませてあげようという気遣いで近くにあった毛布をかけるとそのままソっと地下室を出て、ギルドをあとにした。
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