第四章:『波乱の中間試験』(後編)

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「そういうわけで美咲さんから依頼物受け取ってきたよ…って何してるの?」 しばらくしてナイフ片手に戻ってきた真友香は俺達の状況を見て苦笑する。 それもそうだろう、なんせ俺と竜也の二人がかりで亘を押さえ込んでいるのだから。 ま、そのような状況になった経緯はいたって単純だ。 こいつ(亘)が突入しようとしていたからだ。(どこへかは言わなくてもわかるだろう) 「そういうことね…」 真由香は俺達の事情説明にため息を付きながら呆れ顔で亘の顔を覗き込む。 「亘君…」 「はい…」 「いってらっしゃい…『アクアドラゴン』!」 ブシャァ! 「のわあぁぁぁ!」 そして魔法で吹っ飛ばしてしまった。 俺はその行動を見て大丈夫かと思うのだが、横にいた竜也の「懲りないやつだ」という発言を聞いて日常茶飯事なんだなと思った俺はそのままスルーすることにした。 「で、依頼物って…誰の?」 俺はそのまま話を戻すように真由香に尋ねる。 依頼物がナイフであることはとうの昔にわかったいるのだが、問題はそれが誰の依頼物かだ。 おそらくここにいる誰かのだろうが、俺はそんな依頼をした覚えはないため、真友香か竜也だろうと思っていた。 だが 「はい、直人君 きみのだよ」 「はい?」 いきなり真友香は俺の目の前に差し出して俺のだと言ってきた。 「あれ?サキさんから聞いてない? っていうかこの前直人君の家に行った時の会話覚えてない?」 そう言いながらナイフを手渡してくる真友香 その言葉を聞いて俺はようやく理解した。 あの時、俺についての質問をされる時にサキさんが何やら真友香と話し込んでいた。 それが今真友香の言っている依頼物に関することなのだろう。 「ああ、あの時の…」 「お代はサキさん持ちだったんだけど、美咲さんがお代はいいから実験のモニターをやってくれと言われちゃってね とりあえず説明するよ」 それから真友香のナイフに関する説明が始まった。 内容は主に四つ 『ナイフはソードブレイカーというタイプのナイフで防御にはうってつけの武器であること』『ナイフには魔法石が埋め込まれており、魔力をチャージしてその魔力の持ち主じゃなくても石固有の魔法が使えるようになること』『そして何故か真友香と美咲さんは使えなかったこと』『魔法石の持っている魔法は何かわからないこと』だ。
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