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「一応魔力はチャージし終えているからちょっと試してみて」
ナイフを受け取った俺に真由香はそう言いながら微笑む。
真由香達がいるからそこまで危険なことにはならないだろうと思った俺は真由香の説明する通り魔法石に意識を向けた。
どう言えばいいのだろう…俺の体の内側から風が吹き出ているような感覚といえばいいのだろうか。
とりあえずそんな感覚が一瞬したかと思うと、消えてしまい、その後には何も変化がなかった。
「………」
「………」
「…どう?」
黙り込む俺達にしびれを切らした真由香が尋ねてくる。
俺はその問に応えるために試しに腕を動かしたりするのだが特に変わったところはなく、試しに自分の鉛筆を持って片手で折ろうとしたり少し部屋の中を駆けてみたりもするのだが、やはりこれといった変化はなかった。
「何も変わってないぞ?」
「おかしいな~ほかに何か条件でもあるのかな?」
俺の答えに真由香は不思議に思いながら考え込む。
「直人!」
「え?」
その時、ずっと黙っていた竜也がいきなり後ろから声をかけてきた。
俺は思わず後ろを向くと目の前に迫り来るスーパーボールのような物…ではなくスーパーボールそのものが目に写りこんだ。
もちろんこのまま喰らいたくないので俺は体を仰け反らせながら避けようとする。
だが、そう思ったのと同時というか前に体が反射的に避けていた。
その動作に俺達は一瞬驚くが、スーパーボールは跳ね返ってくるため再び俺はよけなければならなかった。
それが幾度もなく繰り返され、俺はそれを全て避けきってしまった。
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