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その数日後、中間テストが開始された。
もちろん俺に対する妨害も止むことなかったのだが、なんとか乗り切っていた。
中間テスト中は流石に依頼はこなかったのだが、気になることがある俺は勉強をしつつもいろんなところを回っていた。
そして4日間のテストの内、2日目
「とりあえず…ここだな……」
俺はギルドマスターの部屋を訪れていた。
コンコン…
「失礼します」
「どぞ~」
ノックして一声かけると中から真珠さんの声がしたので、俺は扉を開けて中に入った。
「どないしたんや?改まって」
手の上に顎を乗せながらいつもどおりの口調で尋ねてくる真珠さん
俺は心の内が読めない笑みを浮かべる彼女に一歩前に出て、質問に答える。
「市役所での戸籍記録とある人物の身辺の調査を許可して欲しいのですが…」
俺の答えに難しい顔をする真珠さん
それもそうだろうと思う。
戸籍記録といえばもちろん個人情報の塊だし、身辺の調査はプライバシーの侵害だ。
おいそれと許可を出せる類のモノじゃないことはわかっている。
承知の上での結論なのだ。
「とりあえず、その『ある人物』ってのを教えてもらえへんかな?
じゃないとうちも考えらえへんし」
真珠さんは少し考えるとそう言ってさっきと同じようなポーズを取る。
俺もその答えが返ってくるのをわかっていたので、ちゃんと用意していた。
俺の答えに真珠さんは驚いたように目を見開く。
「……」
「………そう…そのことを咲夜…ううんサヤは知ってるんか?」
とりあえず話を進めるために心を落ち着かせた真珠さんは俺に聞いてくる。
「いえ…話してません」
俺はそう答えると肩をすくめる。
その意味も真珠さんはわかっているようで、深くため息を吐く。
そして
「わかった…なんか意味もあるんやろうしな
せやけど、なんも意味なかったらうちは許さへんで直人君」
捜査認可証を取り出してペンを走らせて俺に渡してきた。
もちろん釘を刺しながら。
「わかってます」
俺も決意を固めていることを告げながらそれを受け取って部屋を出て行った。
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