蹴散らしたプロポーズ

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「結婚しよう」 私…佐々木陽子は、33才にして人生で初めてプロポーズをされた。 私にプロポーズをしてくれたのは、付き合って10年以上たつ彼氏…高橋和樹だった。 ここは和樹のマンション。 余計なものは何もなく、いつも綺麗で生活感がない所が、不思議と和樹の生活感を物語っている。 私達が、少し広めのリビングで3人掛けのソファーに並んで座っていた時だった。 「陽子?」 ぼーっとしたまま瞬きもしない私の顔を、和樹が覗き込む。 私は和樹の目を見つめ、大きく1回頷いた。 和樹は、嬉しそうに微笑んで 「仕事、辞めてくれるよね」 と言った。 大きく頷こうとした私の動きが止まった。 「は?」
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