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私は少しにやけてしまった。
「佐々木と違って、真理は結婚に憧れてるから…バシッと海外で式くらい挙げたいななんて」
前田の顔が真っ赤になった。
「いいじゃん。前田、男前になったんじゃない」
私は嬉しくなって言った。
「海外挙式か、いいですよね」
亮がまさかの同意をして、前田は吹き出した。
「西園寺さんもそういう事、考えるんですか?佐々木と同類だと思ってました」
前田はそう言って、私と亮に怒られた。
結局、3人でほぼ仕事の話をしながら飲んだ。
23時前に、私達は店を出る事にした。
前田が真理ちゃんを気にしている事がわかったし、亮も何故かあまり飲まなかったからだ。
「明日は、ちゃんと真理と手伝いに行くから」
前田は別れ際にそう言って、真理ちゃんの家に帰って行った。
「疲れてる?」
部屋までの帰り道、私は亮に聞いた。
「なんで?そんな事ないよ」
亮は私を見て、不思議そうに言った。
「だって、あんまり飲んでないから」
亮は優しく笑った。
「今日の夜が、陽子の部屋で過ごす最後の夜だから。飲み過ぎたら、堪能できないでしょ」
亮が繋いでいる手を離し、私の腰を引き寄せながら言った。
「え…」
私は顔が真っ赤になり、言葉に詰まった。
亮はまた優しく笑った。
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