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私はわざと大きなため息をついた。
「前田の事だから、サプライズとかしたくて…真剣に結婚考えてた事とか真理ちゃんに言ってないんでしょ」
前田は小さく頷いた。
「じゃあ、前田の気持ち伝わってないよ。プロポーズしても、責任取って結婚するって思われちゃうかもね」
前田ははっとした顔をした。
「佐々木、俺1回帰ってもいい?」
前田は立ち上がった。
「今の状態じゃ邪魔だから、さっさと帰れ」
私が笑いながら言うと、前田はすごい勢いで部屋を出ていった。
玄関のドアが閉まった音を確認して、私はタバコに火をつけた。
すると、玄関のドアの開く音がした。
「ただいま」
亮の声だった。
「コーヒー、3つ買って来ちゃったよ」
亮は前田とエントランスですれ違ったらしい。
「陽子に聞いてくれって言って、すごい勢いで走って行ったよ」
私はコーヒーを飲みながら、亮に話をした。
亮は真剣に聞いてくれた。
「めでたい話でよかったよ」
亮は安心したように笑った。
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