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「おめでとう。真理ちゃん、前田の事を幸せにしてあげてね」
私の言葉に、真理ちゃんは可愛く頷いた。
「前田も、真理ちゃんを幸せにするんだよ」
「わかってるよ。佐々木も頑張れよ」
前田は照れ隠しをするように言った。
「大丈夫です、俺はもう幸せですから」
亮がさらっと言って、私の顔が真っ赤になった。
私達は真理ちゃんのお弁当を食べた。
「慌てて作ったから」
と真理ちゃんは言ったけど、お握りと卵焼き、タコウインナー、唐揚げ、とても美味しかった。
唐揚げは昨日私達が飲んでいる間に作ってくれたらしく、そんな真理ちゃんが可愛くて堪らなかった。
食べ終わると私と亮はベランダでタバコを吸った。
「真理ちゃん、可愛いでしょ?前田にはもったいないよね」
私が笑いながら言うと、亮も笑った。
「亮も…」
前田みたいな形の幸せが欲しい?と聞こうとして、私は止めた。
優しい亮は今のままでいいと言ってくれるだろうが、幸せそうな2人を見てそれが本音だとは思えない。
私が安心したいだけで、亮に嘘をついてもらいたくなかった。
「俺は陽子がいなきゃ幸せになれない。どんな形でも必ず陽子じゃなきゃ駄目だから」
亮は私を見て言った。
真理ちゃんの笑い声が部屋から聞こえてこなければ、危うくベランダでキスをするところだった。
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