気持ちと責任

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「前田も吸う?」 私はタバコの火を消すと、前田と入れ代わりに部屋に入った。 「真理ちゃん、よかったね」 私は真理ちゃんの横に座りながら言った。 「去年、結婚はしたいけどまだ無理って言われてたから…」 真理ちゃんが小さい声で話しはじめた。 「妊娠して、責任取ってみたいに思われたら嫌だなって」 私は頷いた。 「でも、私は佐々木さんみたいに強くないから…1人で産んで育てるなんて想像もできなくて」 私は亮がいつもするみたいに、優しく真理ちゃんの頭を触った。 「責任感じゃなくて結婚したいって、言われて嬉しかった。結婚がしたいんだよって」 私は優しく頷いた。 「佐々木さん、これからもよろしくお願いします」 「もちろん。新しい私の部屋にも遊びにおいで」 真理ちゃんは嬉しそうに笑って頷いた。 亮と前田がタバコを吸い終わり、ダンボールとテレビをダンプに積んでくれた。 その間に私と真理ちゃんで部屋の掃除をした。 「真理は座ってればいいから」 四つん這いで床を拭く真理ちゃんに、前田が慌てて言った。 「これくらい平気だよ」 真理ちゃんが笑って言って、私と亮も笑った。 「過保護なパパになりそうだね」 亮が呟いた。
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