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何にも無くなった部屋を見て、私は少し寂しくなった。
別にこの部屋に思い入れがあったわけじゃない。
でも、社会人になった私が泣いたり笑ったりしてきた部屋だ。
なかなか下りて来ない私を亮が迎えにきた。
「大丈夫?」
亮が優しく私の頭を触った。
「大丈夫だよ」
私は亮を見た。
「これからはずっと一緒だから、2人でやっていこうね」
亮はそう言って、私にキスをした。
亮が部屋のブレーカーを落とし、ガスと水道の元栓を閉めた。
私が部屋の鍵をかけ、私達は駐車場に向かった。
「駅前の不動産屋だろ」
前田と真理ちゃんが通り道だからと、鍵と書類を届けてくれると言った。
私は不動産屋に電話を入れ、代理が鍵を届けることを伝えた。
手続きは全て完了していたため、不動産屋は了承してくれた。
「じゃあ、お願いね」
私は鍵と書類を預けた。
「せっかくの休みなのに、ありがとうございました」
亮がお礼を言った。
「佐々木さん、本当に遊びに行きますからね」
私は真理ちゃんを抱きしめた。
「いいよって言ったじゃん。前田なんか無しで遊びにおいで」
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