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「なんかってなんだよ」
前田が言って、私達3人は笑った。
「西園寺さん、本当にここでいいんですか?」
亮のマンションで荷物を運ぶ事を心配して、前田が亮に聞いた。
「杉本が来てくれるから大丈夫です。そろそろ行こうか」
亮は時計を見て言った。
私は前田と真理ちゃんにお礼を言って、ダンプの助手席に乗った。
亮も2人にもう1度お礼を言って、ダンプに乗った。
前田と真理ちゃんに見送られ、私達は出発した。
「寂しい?それとも不安?」
窓の外を見ていた私に亮が聞いた。
「そんな事ないよ。ただ…」
私は亮を見た。
「いろんな事思い出してた。仕事で嫌な事があって大泣きした事とか、嬉しくてはしゃいだ事とか」
私の小さな空っぽの部屋には、今までの私がたくさん詰まっていた。
私はそれを思い出していた。
亮が私の手を握った。
「亮、ありがとう。よくわからないけど、とにかくありがとう」
「よくわからないって…」
亮が小さく笑った。
でも、それが私の素直な気持ちだった。
何に対してなのかわからないけど、亮に感謝していた。
今までの私を受け入れてくれたからなのか、これからの私と一緒にいると決めてくれたからなのか、とにかくありがとうと言いたかった。
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