気持ちと責任

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亮のマンションに着くと、杉本さんがもう待っていてくれた。 「休みなのにありがとう」 亮が少し照れ臭そうに言った。 「いや、俺は西園寺さんの1番弟子ですから」 杉本さんは元気に答えた。 これは最近の杉本さんからよく聞く台詞で、私は笑ってしまった。 本当は、亮は杉本さんに頼むつもりなんかなかった。 前田は私と友達みたいなものだが、杉本さんはあくまでも仕事の後輩だからだ。 ただダンプを借りる話を杉本さんに聞かれたらしく、半分強引に手伝いに来てくれる事になったみたいだ。 「所長には私用って言っただけなのに、杉本の勘は恐ろしい」 と亮のマンションに向かうダンプの中で、亮が言っていた。 杉本さんが手伝ってくれたおかげで、引っ越しはスムーズに終わった。 「本当に、ありがとうございました」 私はお礼を言った。 「お礼に、夕飯ご馳走させて下さい。時間まだ大丈夫ですか?」 亮がそう言って、私達は3人で居酒屋に向かった。
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