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「いってらっしゃい」
「いってきます」
７時半には事務所に出勤する亮を玄関で送り出す。
亮は８時半には事務所で会えるのに少し寂しそうな顔をして、私にキスをする。
これが私達の朝の日課になった。
結局、亮は夜勤にはならなかった。
「役所等の対応もあるんだから、西園寺には昼間いてもらわないと困るだろ」
楽をしたい所長がそう言って、交代ではなく杉本さんがずっと夜勤をすることになった。
杉本さんはショックを受け、亮は無表情を装っていたが少し笑った事に私は気がついた。
８時半に事務所に行くと、珍しくまだ杉本さんが残っていた。
いつもなら、８時前に引き継ぎをして帰っている。
「佐々木さん、待ってましたよ」
「お疲れ様です」
杉本さんは私のデスクまで来た。
「昨日、予定外の埋設菅が出ちゃって」
設計外の埋設菅が出た為、図面を書かなければならないらしい。
杉本さんは手書きの略図を見ながら、私に説明をした。
「わかりました。やっておきます」
私がそう言うと、杉本さんはにやっと笑った。
「どうしたんですか？」
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