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「佐々木、バイトしないか?」
「バイトって…」
私はため息まじりに言った。
予想通り、新しい仕事の話だった。
「納期に余裕もあるし、打ち合わせと納品は俺がやる。データもメールでやり取りするから、会社に顔出さなくてもいいよ。」
部長は私に好条件を並べ、最後にとどめをさした。
「やっぱり、いくら佐々木でも出向しながらは無理だよなぁ」
部長の口車だとわかっていても、乗らずにはいられなかった。
「できますよ。家に持って帰ってもいいんですよね?」
私は結局、新しい仕事もやる事になった。
「夕方、打ち合わせ終わりに事務所に顔を出すよ」
部長は携帯をきった。
「別の仕事?」
私がため息をつく前に、亮に話し掛けられた。
「はい。でも、大丈夫ですよ。この現場に迷惑はかけませんから」
私が笑顔で言うと、亮は苦笑いした。
「そう言うことじゃないんです」
今度は私が苦笑いをした。
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