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18時少し前に、部長が事務所に顔を出した。
「西園寺さん、佐々木と清水がお世話になってます」
私は部長を亮のところに連れていった。
「こちらこそ、結局完全に出向の形にして頂いて申し訳ありません」
亮と部長の話が長くなりそうだったので、私は挨拶をしてデスクに戻った。
「佐々木さん、出来ました」
私がデスクに戻ると、清水が図面を持ってきた。
私はチェックをして、大袈裟にため息をついた。
「清水、何回言えばわかってくれるの?」
私が図面の寸法線を指差すと清水は頭をかいた。
「すみません。でも…今日残業はちょっと…」
私は必死にため息を飲み込んだ。
「わかったよ、私が修正しとくよ。ただ次から早く帰りたかったら、ちゃんと確認しながら仕事してよ」
「はい」
清水は驚くほど元気に返事をして、帰っていった。
「甘すぎじゃないか」
気がつくと、部長が私の後に立っていた。
「そうですか…?」
私はごまかすように笑った。
「まだ気にしてるのか」
部長が心配そうに言った。
「そりゃ私も人間ですから」
私はおどけて笑った。
「仕事の話しちゃいましょう。私、こっちの仕事も残業決定なんで」
部長は新しい仕事の説明をした。
私は部長からデータを受け取り、パソコンに向かった。
「忙しいので、見送りはしませんよ」
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