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納期が厳しいのか、自分の仕事が悪いのか、そんな事も曖昧にしかわからず自信もなかった。
自分が抱えきれるだけ仕事を抱え、私達が会社に泊まって4日目になっていた。
始発が動き出した頃、後輩の1人が
「体の調子が悪いから帰りたい」
と言い出した。
それは、明らかに不機嫌で明らかに嘘だった。
どうしていいかわからず困っていると、
「帰っていいよ」
もう1人の後輩、木村さんが言った。
私がびっくりしていると、言われた後輩は挨拶もしないで帰っていった。
「木村さん、勝手な事言わないでよ」
呆然としていた私が我に返り言った。
木村さんは大きなため息をついた。
「佐々木さんに言っておきますけど、誰もが佐々木さんみたいに仕事が好きなわけじゃない」
木村さんは冷静な口調で、私を真っ直ぐ見て言った。
「小さい頃の夢が叶ったなんておめでたい事を言ってるのなんて、ほんの一握りの人なんです」
私は何も言えなかった
「私はあの子より大人だから、最後まで仕事はしますけど…ただ、佐々木さんみたいに働きたい人ばっかりじゃないってわかって下さい」
そう言うと、木村さんはまた仕事を始めた。
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