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「今、データと日報メールで送りました」
思った通り予定より4日早く終わり、昼休みに私は部長に電話をした。
「やっぱり、佐々木だと仕事が早いな」
部長は感心したように言った。
「2日分くらいお金余ってるので、日報修正して赤字の現場に充てて大丈夫ですよ」
私は自分の日報を見ながら言った。
「いいよ。たまには佐々木もいい思いしろよ」
「大丈夫ですよ。西園寺さん、やったらやった分の残業付けてくれてますから」
「そうじゃなくて…」
部長は呆れた声を出した。
「日曜日休みだろ。休日出勤付けといてやるよ」
私は部長にお礼を言って電話を切った。
自分で請求書の作成をするようになってから、自分の残業を少なめに付ける事はよくある。
多く付けるなんて久しぶりで、ご褒美をもらった気分だった。
「佐々木」
名前を呼ばれて振り向くと、前田だった。
「前田、お疲れ。今日、現場来てたんだ」
私がタバコに火をつけようとしたら、前田に外に連れ出された。
事務所の外の喫煙所で、やっとタバコに火をつけた。
「佐々木に頼みがあるんだけど…」
前田もタバコを吸いながら言った。
「結婚式に出て欲しいんだよね」
「私、性別女だよ。新郎側はまずいでしょ?」
私は笑って言った。
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