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「大丈夫、大丈夫」
前田は軽く笑った。
結婚式と言っても披露宴などはしないで、本当に結婚式だけらしい。
それに参列者は、前田と真理ちゃんの両親とお互いの友達数名だと言うのだ。
「仕事関係も誰も呼んでないよ。真理が佐々木だけはどうしても呼びたいって」
前田は幸せそうな顔で言った。
「じゃあ、行かないわけにはいかないね」
私は結婚式に行く事にした。
「真理の体調も考えて、8月だから。建設業的には有り得ないけど」
前田は気まずそうに言った。
「大丈夫、意地でも行くから」
私は笑った。
「ここにいたんですか?」
振り返ると亮がいた。
珍しく事務所にいない私を探していたみたいだ。
「西園寺さん、お疲れ様です」
前田が挨拶をした。
「事務所にいないなら、メールくらいくれてもいいのに」
前田にも聞こえないような小さい声で、亮が呟いた。
私は笑ってしまった。
「2人はもう昼ご飯は食べたんですか?」
亮に聞かれ、私だけが首を横に振った。
「俺は食べたので、よかったらお二人でどうぞ」
前田はそう言って、車に戻って行った。
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