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「どう?変じゃない?」
前田の結婚式前日の夜、私は結婚式に着て行く服を試着していた。
「変じゃないけど…」
亮の歯切れが悪い。
「やっぱり、普通にパンツスーツにしようかな」
パンツスーツで参列するつもりだったのに、先週仕事帰りに黒のパーティードレスを衝動買いしてしまった。
シンプルなデザインで私好みなのだが、背中が大きく開いていた。
「とりあえず、パンツスーツ着てみる」
「まだ脱がなくていいよ。…すごい似合ってる」
着替えようとする私を亮が止めた。
「え?じゃあ、変じゃない?明日、これで平気?」
「平気…」
亮が私を後から抱きしめた。
「ただ、背中開きすぎ」
亮はきつく抱きしめた。
「シワになっちゃうよ」
私は亮から離れた。
「お店で試着した時も、背中が気になったんだけど…お店の人がこれくらい真夏なんだから普通ですって」
私は恥ずかしそうに一生懸命言い訳を言った。
亮が少し笑った。
「わかったよ。でも、本当に似合ってるよ。明日はそれで行きなよ」
私は恥ずかしそう頷いた。
「でも、明日…それを脱がすのは俺だからね」
亮が意地悪な顔で言った。
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