花嫁

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「前田、おめでとう…」 ドアを開けて入ってきた前田は、真理ちゃんを見て確実に見とれていた。 「あ、佐々木来てくれたんだ。ありがとう」 上の空のまま、前田が言った。 私は笑ってしまった。 「前田、しっかりしなさいよ。じゃあ、先に行ってるよ」 私は前田の背中を思いっ切り叩いて、控室を出た。 式場はさっきよりも賑やかになっていた。 新婦側の席には、真理ちゃんの友達がもう座っていた。 新郎側にも前田の友達が座っていた。 私は前田の友達の後の席に座った。 「佐々木さんだよね?」 前田の友達が後を振り向いて聞いてきた。 私は頷いた。 「前田から聞いてるよ。会社唯一の同期なんだよね」 「いい話ならいいですね。そんなわけ無いか」 私が言うと、前田の友達が笑った。 「この後みんなで食事でもって言ってるんだけど、一緒にどう?前田達も顔出せたら出すって言ってるし」 「すみません。せっかくですけど、約束あるんで」 私は出来るだけ、素っ気なくならないように答えた。 気がつくと、私と話している人以外の前田の友達は、真理ちゃんの友達を誘いに行っていた。
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