1144人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺、苦手なんだよね」
真理ちゃんの友達と楽しそうにしゃべる前田の友達を見てそう言った。
「わかる気がします」
私は苦笑いした。
結婚式の後は、男も女も変なテンションになる。
「佐々木さんがいてくれたら、楽しそうだったのに」
前田の友達は少し拗ねた顔で言った。
「本当にごめんなさい」
私は笑って言った。
結婚式が始まると、一気に空気が変わった。
聞き慣れない賛美歌のせいなのか、純白のウエディングドレスのせいなのか私は夢心地になった。
うらやましいなんて思っていないなんて、口が裂けても言えない。
ため息が出るほど、真理ちゃんは綺麗でうらやましいと思った。
見たことがないくらい緊張している前田を見て、新郎は所詮オマケだと思った。
式が終わると教会の人に誘導されて、教会の外に出た。
外では前田と真理ちゃんとその両親が、私達が出てくるのを待っていた。
「佐々木さん、来てくれてありがとう」
真理ちゃんは私にブーケを差し出した。
「駄目だよ、ブーケトスしたほうがいいよ。真理ちゃんの友達もいるじゃん」
私は受け取らずに言った。
「真理の友達はみんな20代前半だから、佐々木がもらうぶんには誰も文句言えないよ」
前田が意地悪な顔で言った。
「失礼なやつ。じゃあ、遠慮なく」
私はブーケを受け取った。
「真理ちゃん、ありがとう」
真理ちゃんはにっこり笑った。
最初のコメントを投稿しよう!