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亮に連れて来られたのは、有名なホテルだった。
「ここの最上階のレストラン、予約しちゃった」
「え?」
私はホテルを見上げた。
「まだ時間じゃないから、どこかでタバコでも吸う?」
私はぎこちなく頷いた。
ホテルの側の喫茶店に入る事にした。
「あのホテル、嫌だった?」
コーヒーを飲みながら、亮が心配そうに聞いた。
私は勢いよく首を横に振った。
「あんなすごい所で食事なんかした事無いから、緊張してるだけ」
私は素直に言った。
亮が少し笑った。
私は亮の余裕な表情に少し拗ねた顔をした。
「俺も初めて」
亮がさらっと言った台詞に私はびっくりした。
「こんな服着て出掛ける事なんか滅多にないから、特別な事したくて」
私がパーティードレスを衝動買いした日に、レストランを探してくれたらしい。
「詳しく無いから…知ってる有名なホテルに片っ端から電話したら、あのホテルが予約取れたんだよ」
亮が笑いながら言った。
「初めてには見えないくらい余裕だね」
私はタバコを吸いながら言った。
「ネットで調べて、コースももう注文してあるし…後は美味しく食べるだけだよ。緊張する必要ないよ」
亮の言葉に、緊張している私が馬鹿馬鹿しくなった。
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