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私は亮を真っ直ぐ見た。
「我慢じゃない。…陽子は俺の側だから輝いていられる、陽子は俺じゃなきゃ駄目なんじゃないかなんて思えて、幸せを感じてる」
私は自分の涙腺が緩んでいくのを感じた。
「じゃあ、こんな私でいいんだ…」
亮は優しく頷いた。
「夫婦っていろんな形があっていいと思わない?」
私は溢れそうな涙を我慢していて、もう頷くだけで精一杯だった。
「子供がいなきゃ駄目ってわけじゃない。今のままの俺達みたいな形があっても、いいと思う」
「本当に…?」
私はすごく小さい声で呟いた。
「俺は陽子が西園寺陽子になってくれるだけで、幸せだけど。俺の名字珍しいから、みんなが陽子は俺のものだって思うだけで満足だけど」
「これって、プロポーズ?」
私は思わず聞いてしまった。
亮は慌てて、首を横に振った。
「え?」
私の溢れそうだった涙が一瞬で止まった。
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