二兎追うもの

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月曜日になり、いつものように出勤前に亮とコーヒーを飲んでいた。 冷静になった頭で、昨日の事を考えてみた。 亮と付き合ってまだ1年、やはり結婚は早いような気がした。 1年後のプロポーズまでに、ちゃんと考えようと思った。 「陽子、聞いてる?」 「あ、ごめん。ぼーっとしてた」 亮が呆れた顔をしていた。 「現場は帰省ラッシュに備えて、今週の金曜日からお盆休みだよ。陽子は?」 私は少し考えた。 「会社の公休的には、土曜日からお盆休みなんだよね」 「金曜日から休めればいいね」 亮がコーヒーを飲み干して言った。 「部長に聞いてみる。のんびりしたいよね」 亮は私にキスをして、出勤していった。 私は少し浮ついた気分を切り替えるように、深呼吸をして支度を始めた。 少しでも気を抜くと、昨日の事を思い出してぼーっとしてしまいそうだった。
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