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お盆休みが近いせいか、事務所はバタバタしていた。
私も書類や図面に追われ、余計な事を考える時間もなかった。
清水はあの仕事頑張る宣言以来、別人のように頑張っている。
仕事のミスも殆ど無くなり、強力な戦力になってきている。
「佐々木さん、終わりました。昼休みにしていいですか?」
清水に言われ、時計を見ると12時を過ぎていた。
「速かったね。昼にしていいよ」
私は清水から図面を受け取って言った。
清水はデスクで、彼女のお弁当を食べはじめた。
私は図面を軽くチェックし、亮を見た。
亮も忙しそうに、書類を見ていた。
亮は私の視線に気づき、誰にもわからないように目だけで頷いた。
私は事務所の裏の喫茶店に向かった。
見落としてしまいそうな小さな看板のこの店をみつけたのは、亮だった。
老夫婦が趣味でやっているような落ち着いた店で、とにかくコーヒーが美味しかった。
私達は用事が無い限り、昼休みはここで2人で過ごすようになっていた。
先に店に着いた私は、いつものように2人分の日替わりランチを頼み亮を待った。
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