二兎追うもの

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「お待たせ」 すぐに亮は店に来た。 「忙しそうだね」 私がそう言うと、亮はため息をついた。 「今日、急遽…夜勤になった」 現場でトラブルがあり、亮は夜勤になったらしい。 「それで、バタバタしてるんだ。お盆休みもあるし、大変だね」 駅などが絡む工事は工程が押してるからといって、お盆休みを減らしたり出来ないから大変だ。 「明日、着替えとか持ってくる?」 私が聞くと、亮は少し考えていた。 「大丈夫、たぶん4時くらいには1回帰れると思うから」 私は頷いた。 運ばれてきたランチをバタバタと食べ、亮は私を置いて先に事務所に戻って行った。 私もいつもより早く店を出て、部長に電話を入れた。 「お盆休みなんですけど…」 私は金曜日から現場が休みになる事を伝えた。 「佐々木、お盆休みなんだけど…」 歯切れの悪い部長に私はため息をついた。 いい話ではないはずだ。 「前の西園寺さんの現場が終わるんだけど、竣工図を頼みたいらしい」 私はもうそんな時期かと思った。 「所長は佐々木に頼みたいみたいな口ぶりなんだけど、どうする?」 「納期しだいですね」 私は嫌な予感がしながら答えた。 「お盆休み無しでやってもらえないかな?」 私は部長に聞こえるように、わざと大きなため息をついた。
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