二兎追うもの

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「結構なボリュームの仕事だけど、俺と佐々木と前のチーム佐々木でやれば5日でいけると思うんだけど」 「部長は家族いるのに、お盆いいんですか?」 私は事務所の外の喫煙所でタバコに火をつけた。 「俺は別で夏休みもらうから大丈夫。ちなみに、チーム佐々木も『佐々木さんとまた仕事したいから、休み無しでも大丈夫です』だって」 私はまた部長の口車に乗るしかないようだ。 素直に後輩達の言葉が嬉しかった。 「わかりましたよ、やります。打ち合わせの日程は、私が直接所長に電話します」 部長はお礼を言って、電話を切った。 私はもう1本、タバコに火をつけた。 事務所に戻ると、亮が忙しそうに打ち合わせをしていた。 私は亮には明日話す事にした。 とりあえず、清水を呼んだ。 私がお盆休み無しで働く事を伝えた。 「ただこの現場じゃないから、清水はこの現場通り休み取っていいよ」 私がそう言うと、清水は少し考えていた。 「俺じゃ役にたちませんか?」 意外な清水の反応だった。 「役にたつもなにも、清水はもう頼もしい戦力だよ」 私がそう言うと、清水は嬉しそうな顔をした。 「俺も、お盆休みいりません」 清水の真っ直ぐな目に、私は嬉しくなって頷いた。
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