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私も素直になればよかったと思いながら、お盆休みの話をした。
「そうなんだ」
明らかに残念そうな亮に少し笑った。
「でも仕事の量見る限り、来週の木曜日には休みになるはずだよ」
「え?打ち合わせ、もう行ったの?」
亮が聞いた。
「今日の19時から打ち合わせだった。窓口は関口さんだよ」
亮は大袈裟にため息をついた。
「関口とは仲良くしちゃ駄目だよ」
亮のやきもちと心配の混じった言い方に、私は素直に嬉しいと思った。
そして、そんな自分におかしくなった。
「大丈夫だよ」
私は笑って言った。
「そろそろ、事務所に戻るよ」
亮の言葉に私は慌てた。
「待って」
「どうした?」
亮が心配そうに言った。
「…私も、本当は寂しい」
私が素直に言うと、亮が微笑んだ気がした。
「できるだけ、早く帰るね」
「うん」
私はしばらく通話が終了した携帯を握りしめていた。
1人では広いベッドの真ん中で寝てやろうと横になったが、落ち着かなかった。
結局、いつもの場所で亮の枕を抱いて寝た。
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