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「佐々木は結婚しないの?」
私は突然の部長の言葉に、思わずタバコを落としそうになった。
「突然、びっくりさせないで下さい。行き遅れだって言いたいんですか?」
私は茶化す様に言った。
しかし、部長の顔は真剣だった。
「冗談じゃなくて。佐々木、結婚しろよ」
私は言葉を失った。
部長は、仕事をしている私を認めてくれていると思っていた。
そんな私の心を読んだのか、部長は慌てて言葉を付け足した。
「仕事もちゃんと続けながらって意味だよ」
「仕事辞めろって言われたのかと思いましたよ」
私は苦笑いしながら言った。
「難しい事を言ってるとは思ってるけど、佐々木には諦めて欲しくない」
私は曖昧に頷いた。
「木村、覚えてるよな」
部長の言葉に、私は大きく頷いた。
「誰もが佐々木さんみたいに仕事が好きなわけじゃない」
木村さんの言葉が私の頭を過ぎった。
「木村も佐々木にはあんな感じだったけど、寿退社したかったわけじゃないんだよ」
私は部長を見た。
「仕事辞めたくないって、結婚悩んでたんだよ」
私は部長の意外な言葉にびっくりした。
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