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「子供がいないからこんなに働けるのよって、意地張ってただけなんだけどね」
叔母さんはすっきりとした顔で続けた。
「やっと素直に仕事辞めて、この人の側にいられる様になったの。私にとって好きだった仕事が、いつの間にか逃げ道になってたから」
叔母さんはそこまで言うと、私を真っ直ぐ見た。
「意地張っちゃ駄目よ。昨日思ってた事と今日思う事が違ってても、今を一生懸命生きてたら大丈夫」
私は頷いた。
「はい、ありがとうございます」
亮が優しく私の頭を触った。
「亮、いちゃいちゃするなら帰ってからにして」
叔母さんがからかうように言った。
「そんなんじゃないよ」
亮の顔が真っ赤になって、私もつられて真っ赤になった。
「亮、悪いけど帰る前にこの人2階に運んでくれない?」
叔母さんに言われて、亮は半分無理矢理大将を起こして2階に連れていった。
「陽子ちゃん、自分が幸せになる事に貪欲になりなさいね」
叔母さんはビールを飲み干して言った。
「はい、とりあえず私なりの花嫁修行始めるところです」
私もビールを飲み干して言った。
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