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金曜日の昼休み、いつものように亮と喫茶店でご飯を食べていると、私の携帯がなった。
「関口さんからだ」
私は亮にそう言って、携帯に出た。
「お疲れ様です。佐々木です」
「お疲れ様。来週の土曜日、時間ありますか?」
「仕事ですか?」
竣工図の納品は、来週の水曜日に部長が持って行く事になっていた。
「事務所引き上げるから、竣工祝いをしようって事になったんで」
「そうなんですか?」
亮が不機嫌そうに私を見ていて、私は苦笑いした。
「佐々木さんの会社からは、前田さんと佐々木さんをぜひって。一応15時からですが、遅くなっても大歓迎なので」
関口さんは何故かご機嫌だった。
「こちらの現場もありますので調整して、部長とも話して連絡します」
私ははっきりとは返事をしないで、電話をきった。
「竣工祝い?」
携帯をしまった瞬間に亮が聞いた。
私は頷いた。
「亮は行くの?」
こういう酒の席に、亮が参加しない事は有名だった。
「陽子はどうするの?」
私はため息をついた。
「行かなきゃまずいよ。私、下請けだもん。こっちの現場が終わってから、顔出さなきゃ」
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