花嫁修行

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「お待たせ」 亮は22時少し前にズブロッカに来た。 「まさか、1人で飲んでるとは思わなかったよ」 苦笑いしながら言った。 「たまにはいいかなって」 私も苦笑いした。 「いいと思うよ、息抜きも大事だしね」 「息抜きって…息詰まってないし」 私は笑いながら言った。 亮は私を見透かすように見つめた。 「陽子、今週は息詰まってたよ」 私は亮には敵わないと思った。 「ご飯作るの義務みたいに思ってるだろ。したい事と出来る事しかやらないって約束したじゃん」 「ご飯、出来る事だよ」 私は少しすねた顔で言った。 亮は優しく笑った。 「俺は、くたくたになるまで全力で働く陽子が好きなんだよね。だから、ご飯作る力なんか残さなくていいのに」 私は思わず笑ってしまった。 「どれだけ私に甘いのよ」 亮も笑った。 帰る時間が近くなると、夕飯の献立を考えていた。 夕方になると、時間が気になった。 今までは、仕事に夢中になって時間も忘れて働いていたのに。 私の小さな花嫁修行はわずか1週間で終わった。 私は一生、主婦には頭が上がらなそうだ。
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