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土曜日は予定通り現場も休みになった事もあり、比較的のんびりした雰囲気だった。
前田とは、14時50分に前の事務所の最寄り駅で待ち合わせになっていた。
「少し早めの14時くらいに事務所を出ますか?」
昼休み明けに亮に言われ、私は13時半過ぎには帰り支度を始めた。
「何かあったら携帯に電話してね。今日は残業なしで18時には上がるんだよ」
私がそう言うと、清水は返事をした。
「清水さん、コーヒーどうぞ」
私と清水が話しているところに、亮がコーヒーを持ってきた。
「西園寺さん、すみません」
清水が恐縮して頭を下げた。
「清水さんだけ残して、すみません」
亮が清水に謝った。
「いや、俺は現場に関わってませんから」
緊張する清水と、申し訳なさそうな亮に私は思わず笑ってしまった。
「この現場の竣工祝いはぜひ参加して下さい」
亮の言葉に清水も思わず吹き出した。
「この現場の竣工って、10年以上先ですよね」
清水の言葉に亮も笑った。
「そろそろ行きますか?」
私が時計を見て言って、清水を残して私と亮は事務所を出た。
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