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私と前田は苦笑いした。
「関口さん、佐々木は止めた方がいいですよ。こいつの彼氏、やばいですから」
前田が関口さんに耳打ちをした。
私は少し笑って、2本目のタバコに火をつけた。
「関係ないよ」
関口さんが拗ねた顔をした。
私はその表情を見て、亮の言っていた意味がわかった。
この人は、病気なくらい軽い男なのだろう。
「何が関係ないの」
頭上から不機嫌な声が聞こえてきた。
見上げると、亮だった。
「西園寺さんもタバコですか?」
私は慌てて、亮に話し掛けた。
明らかに亮は怒っていた。
「西園寺さんまで邪魔するんですか?」
空気を読めなかった関口さんが言った。
私と前田は目を合わせ、ため息をついた。
「…」
亮が関口さんに耳打ちをした。
何を言ったのか聞こえなかったが、明らかに関口さんの顔色が変わった。
「もうお開きになりそうなので、帰りませんか?佐々木さん、送りますよ」
亮がにっこり笑って、私に言った。
私は慌てて頷き、前田を見た。
「俺も帰ります」
前田も慌てて言った。
私は前田と所長に挨拶に行き、亮と3人で事務所を出た。
事務所を出る瞬間、関口さんを見たがまだあの隅のテーブルで呆然としていた。
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