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亮が思い出したように、前田に聞いた。
「大した事ではないんですけど…さっき関口さんになんて言ったんですか?」
前田が言いにくそうに言った。
亮は悪戯っ子みたいに笑った。
「俺の女なんだけど、お前いい度胸してるな」
「は?」
私は言葉につまり、段々顔が真っ赤になった。
そんな私を見て、前田は笑いを堪えているようだった。
「まだ早いから、飲みにでも行きますか?」
何事もなかった様に、亮が言った。
私と前田は時計を確認した。
時間は20時前だった。
「俺は家に帰ります」
前田はすぐに答えた。
「いいパパしなきゃね」
私が茶化す様に言うと、前田は頭をかいた。
「じゃあ、お疲れ様」
駅で前田と別れ、私達は飲みに行く事にした。
「どうする?マンションの近くの店にする?」
私は駅の喫煙所で、タバコを吸いながら聞いた。
「帰り楽だから、そうするか」
私達はタバコを吸い終わると、ホームに向かった。
「ねぇ、本当に関口さんにあんな風に言ったの?」
電車を待つ間、私は亮に聞いた。
「言ったよ。関口が軽く遊びで手を出してる女の子達と、陽子が同じ扱いされてむかついたから」
亮は少し怒った顔で言った。
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