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花嫁さんより、お母さんになってからのほうが幸せだと言われているようだった。
それから仕事の話はもちろんだが、前田と真理ちゃんの結婚生活や子供の事など色々な話をした。
「やっぱり出産って、痛かった?」
私は真理ちゃんに聞いてみた。
真理ちゃんは眉間に可愛くしわを寄せ、頷いた。
「痛みで死ぬんじゃないかってほど。でも産まれた瞬間の幸せで、そんなのどうでもよくなりました」
「すごいね」
私は少し笑いながら言った。
「はい、出産ってすごいです。今なんか、もう1人欲しいなって思ってるくらいです」
真理ちゃんは、優しく微笑んで言った。
「たくましいだろ?もう完全に俺、敵わないよ」
前田がそう言って、私達は笑った。
「陽子、そろそろ帰ろうか」
亮にそう言われ、私が時計を見るともう17時になろうとしていた。
「そうだね。そろそろ帰るね」
私がそう言って、私達は立ち上がった。
「夕飯、食べていって下さいよ」
真理ちゃんが寂しそうに言ってくれて、私は笑顔になった。
「ありがとう。でも今日は帰るね」
「また遊びに来て下さいね」
玄関で真理ちゃんが子供を抱きながら、笑顔で言った。
「うん、また遊びに来る。今日はありがとう」
私も笑顔で答え、もう1度子供を覗き込んだ。
「また会おうね」
私は子供の頬に優しく触れて言った。
マンションの外まで送ると言ってくれた2人を断り、私達は前田の部屋を出た。
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