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「落ち着いた?」
駐車場に着いて車に乗ると、亮が突然聞いた。
「え?」
私は意味がわからず、聞き返した。
「陽子、行きの車で緊張してるみたいだったから。落ち着きもなかったよ」
私は苦笑いした。
亮には全てお見通しのようだった。
「落ち着いたよ。もう大丈夫」
私はそう言って、タバコに火をつけた。
前田の家では1本も吸わなかったので、体に染み渡るようでゆっくりと煙をはいた。
そんな私を見て、亮もタバコに火をつけた。
「今日、確かめに行ったの。真理ちゃんに会いたかったのもあるけど、自分の気持ちを確かめたの」
私は素直に思っている事を言った。
「それで、どうだった?」
亮は優しく聞いた。
私は少し震える手を強く握り、覚悟を決めて亮を真っ直ぐ見た。
「私、子供が欲しい。…子供も欲しい」
亮は私の握りしめた手を優しく触った。
私の体から力が抜け、私は自然と笑顔になった。
「子供の事を考えないようにしてたんだけど、それってずっと考えてたって事なんだよね。だから覚悟を決めて、真理ちゃんに会いに行ったんだ」
亮は優しく頷いた。
「やっぱり、亮と私の子供が欲しい」
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