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悲しいわけでもないのに、私の目に涙がにじんだ。
本当の気持ちと一緒に、涙があふれたようだった。
「とにかく欲しいもの全部手に入れる方法を探す」
私がそう言うと、亮が笑った。
「それって、陽子の会社の部長の受け売りじゃん」
私も思わず笑った。
「亮も覚悟しといてね。私、絶対諦めないから」
「望むところだよ」
亮は笑いながら言った後、私の頭を優しく触って続けた。
「陽子、一緒に探そう。欲しいもの全部手に入れる方法」
私は笑顔で頷いた。
「ところで、これってフライングのプロポーズじゃないよね?」
亮が意地悪な顔で聞いた。
「違うよ。プロポーズは亮にしてもらうつもりだもん」
私は慌てて答えた。
亮が吹き出して、私も笑った。
それから私達は、前田の親バカぶりなどを話しながらマンションまで帰った。
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