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「よく考えたな」
黙って聞いてくれていた部長が嬉しそうに言った。
「部長はわかってたんですよね。最近の仕事、少し強引でしたよ」
私が笑って言うと、部長も笑った。
「ブランクがなければ、時間がかかっても仕事に復帰できる。俺もそう思ったんだよ」
私は部長の言葉に頷いた。
「会社の方は俺が何とか説得するよ。と言っても、佐々木の会社への貢献考えたら誰も反対はしないよ」
「よろしくお願いします」
私は頭を下げた。
「細かい話は、少しずつ決めていこう。今、妊娠してるわけじゃないんだろう」
「はい。ただ、年齢を考えると近い未来になる予定ですけど」
私は少し笑って言った。
「手に入れたら手放すなよ」
部長はそう言って帰って行った。
私は立ち上がり、部長がカフェを出るまで頭を下げていた。
「で、清水はどうしたの?」
部長が見えなくなり、私は清水の向かいの席に移動して言った。
清水は言いにくそうに俯いた。
「何か飲む?お代わりしようよ」
私は店員さんを呼んで、コーヒーを2つ頼んだ。
コーヒーが運ばれてくるまで、清水は無言で俯いたままだった。
運ばれてきたコーヒーをお互いに一口飲んだ。
「佐々木さん、俺仕事辞めたくないんです」
「は?」
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