プロポーズ

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「生ビールでいいですか?」 私は亮と清水に確認し、生ビールと料理を適当に注文した。 生ビールが運ばれてきて、乾杯をし一息ついた時に清水が言いにくそうに言った。 「西園寺さん、俺の事を心配してくれたんですよね?」 亮は否定も肯定もせずに苦笑いをした。 清水は私と亮が付き合っていると知っている。 私がはっきり言った事も清水が私に確かめた事も無いが、前田や杉本さんの雰囲気で気付いているだろう。 部長との打ち合わせ後に相談された話の事を言っていると、私と亮はわかった。 「彼女と話したの?」 私は亮の代わりに清水に聞いた。 清水の彼女は、平日が休みなので今週どこかで会っているはずだ。 「ちゃんと素直に思っている事を話しました」 清水はすっきりした顔で答えた。 「その雰囲気だと、悪い結果じゃないみたいだね」 私はタバコに火をつけて言った。 「わかってはくれました」 「わかっては?」 清水の意味ありげな言い方に、亮が聞き返した。 「彼女は来年、1人で実家に帰る事になりました。俺が30才になるまで結論は出さなくてもいいって言われました」
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