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「コーヒー入れるから、着替えてきなよ」
亮に言われ、私は頷いて着替えるために寝室に向かった。
いつもと変わらない格好をし、鏡に映った自分を見た。
少し浮かれている事に気づかれないように、ピアスだけ1番お気に入りの物に変えた。
リビングに戻ると、亮がコーヒーをいれてくれた。
「ありがとう。朝というか昼ご飯どうする?」
コーヒーを受け取りながら、私は亮に聞いた。
「軽くパン屋で買って、車で食べようよ」
亮は少し考えて答えた。
「今日、どこに行くの?」
私は出来るだけさりげなく聞いた。
「秘密」
亮はそう言うと、タバコに火をつけた。
私はそれ以上何も聞かず、コーヒーを飲んだ。
コーヒーを飲み終わると、私達は近所のパン屋さんでパンと飲み物を買い車で出掛けた。
車は首都高速に乗り神奈川方面に向かった。
私はどこに向かっているかわかり、緊張と動揺を隠すように窓の外を見続けた。
亮も何も話さなかった。
アクアラインのトンネルに入った瞬間に、亮が優しく私の頭を触った。
「俺…緊張してて、無言でごめんね」
亮の言葉に私は少し笑った。
「大丈夫、私も緊張してて会話にならなそうだから」
車は海ほたるの駐車場で停まった。
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