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「失敗した。俺が指輪用意しなかったせいで、せっかくの雰囲気がぶち壊しだね」
亮が笑いながら呟いた。
「雰囲気なんかいいよ。幸せにしてあげるから、幸せにしてね」
私はそう言って、亮の腕にしがみついた。
「もちろん、そのつもりだよ」
亮はそう言って、また私の頭を優しく触った。
「前にここに来た時には、こんなに順調に陽子と付き合えるとは思ってなかったよ。絶対、手に入れてやるって気合いだけはあったけど」
亮が海を見ながら言った。
「私はもうすでに好きだった気がする。はっきり認めたのは、駐車場だったけど」
あの日の記憶が鮮やかに蘇った。
「本当に?でもそうか…この後すぐに好きだって言ってくれたもんね」
私は頷いた。
「ここで言ってくれればよかったのに。俺、必死だったんだよ」
少し拗ねた様な亮に、私は笑ってしまった。
「惚れられた方は余裕だよね。俺なんて一喜一憂してて格好悪い」
亮はますます拗ねた顔をした。
「余裕なんてなかったよ。ドキドキさせられっぱなしで、大変だったんだから」
私は亮を宥めるように言った。
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