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私達は軽く夕飯を済ませ、ズブロッカに向かった。
日曜日ということもあり、店は比較的空いていた。
「日曜日に来るなんて珍しいね」
カウンターに座った私達に、マスターがいつもの笑顔で言った。
「私達、結婚することになったよ」
勿体振るのも照れ臭い気がして、私はさらっと言った。
「そっか、おめでとう」
マスターは驚きもせず、私よりさらっと言った。
「驚かないの?」
私は予想外の反応に驚いて言った。
「わかってたから。どちらかと言えば、遅いと思うくらいだよ」
マスターが笑いながら言って、亮と私は顔を見合わせた。
「とりあえず、いつものでいいの?」
マスターに言われ、私達は慌てて注文をした。
「陽子ちゃんが初めて西園寺さんをこの店に連れてきた時から、結婚するんだろうなってわかってたから」
カクテルを作りながら、マスターは言った。
「初めてって、あの時はまだ仕事の延長みたいだったのに」
私はマスターの言葉に反論するように言った。
「俺はそんなつもりはなかったけど」
亮がぼそっと呟いて、マスターが笑った。
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