ズブロッカ

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マスターはいつの間にか空になった私達のグラスをさげ、私達にズブロッカを出してくれた。 「これは俺からの結婚祝い」 マスターは優しく微笑んで言った。 「ありがとう」 「ありがとうございます」 私と亮はお礼を言った。 一口飲むと、甘い桜の香りが口に拡がった。 私が微笑むと、マスターは笑って他のお客さんのところへ行ってしまった。 「このお酒、陽子みたいだよね」 亮が私を見た。 「ウオッカって聞くと度数強くてパンチがありそうだけど、飲むと甘い香りがしてパンチって感じじゃない。でも結局、やっぱりウオッカだからパンチがある」 亮が悪戯っ子みたいに笑って言った。 「それって褒めてないよね。結局、パンチがあるって事じゃん」 私が少し拗ねた顔で言った。 「1度味わったら、他じゃ物足りなくなる。まさに陽子じゃん」 亮が私の耳元で囁いて、私は顔が真っ赤になった。 「お代わりする?」 私はごまかすように亮に聞き、マスターにお代わりを頼んだ。
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