1144人が本棚に入れています
本棚に追加
/329ページ
「やりたい事と出来る事しか言わないよ」
と亮が言ってくれたあの日から、私の中で何かが変わり始めた。
亮となら前に向かって並んで歩いていけると思った。
私の目から、涙が溢れた。
亮が優しく私の頭を触った。
その亮の体温が私を幸せにしてくれる。
私が顔を上げて亮を見ると、亮は私を優しく見ていた。
「カウンターでキスとか止めてね」
マスターが笑いながら言った。
「そんな事しないよ」
私が我に返り慌てて言って、3人で笑った。
「そろそろ帰ろうか。早くキスしたいし」
亮が真顔で言って、私の顔は真っ赤になった。
「お金、今日はいらないよ。全部俺のおごり」
マスターの言葉に、私はびっくりしてマスターを見た。
「その代わり、結婚してもちゃんと常連さん続けてよ」
マスターの優しい笑顔に私は素直に頷いた。
「ありがとう」
「ごちそうさまです」
お礼を言って、私達は店を出た。
珍しくマスターは店の外まで見送ってくれた。
「誰かに祝福されるって幸せだね」
帰り道、私は亮に言った。
「そうだね。これからもっともっと幸せになれるよ」
亮の言葉に私は大きく頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!