1144人が本棚に入れています
本棚に追加
/329ページ
8月が始まった。
部長と行った打ち合わせは、何の問題も無く終わった。
帰りの電車で、部長に昨日の領収書を渡した。
部長はニヤニヤしながら領収書を見ていた。
「これは、自腹だな」
部長の言葉に私の顔が赤くなった。
「この店、行ったことは無いけど…バーだろ?接待って雰囲気じゃないよなぁ…」
私は何も言えず、奪い返した領収書を丸めてポケットに入れた。
「佐々木のことは、信頼してるから」
部長がぼそっと言った。
その後、私達は無言で会社まで帰った。
仕事は順調で、後輩達を定時に帰した。
社内を見渡し、前田を探したが見つけられなかった。
まだ、現場から帰ってないのだろう。
時間を確認すると、18時を少し過ぎたところだった。
前田が戻る前に帰ってしまおうと、パソコンの電源を落とした。
「こんな時間に帰るなんて、珍しいね」
嫌な予感がして振り向くと、前田だった。
「ちょっと、来い」
前田は強引に私を引っ張って行った。
最初のコメントを投稿しよう!