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「んにゃ~っ……」
しかし断じて、とある一室にいるのは猫ではない。
薄暗いワンルームの部屋に大きなベッドが1つ。そのすぐ傍らで、寝ぼけながらも不機嫌な“彼女”が発した声だった。
彼女は今、自分の掛け布団に呑みこまれてもがき苦しんでいる。
どうやら外への出口を探しているようなのだが、布団やら毛布やらがうまいこと絡まっていて、どうだろう……、このままでは当分出られそうにない。
何だか見てられない感じだ。
何故この状況が生まれたのか……?
こんなことは説明するまでも無く、皆もだいたい想像出来てしまうのだろうけれど……。
そう。彼女はとても寝相が悪い。
今のこの見るに耐えない状況は、単に掛け布団と共にベッドから転げ落ちたことによって起きている。
大人3人が余裕で横になれるサイズのベッドであるのに、そんなもの、彼女からしてみれば平均台の上で寝ることとほぼ同等だそうだ。
以前本人が自慢げに話していたのだから間違いない。
そしてこれが、決して大袈裟ではないところが恐ろしい。
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