【第1語:初めての転校生】

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このまま持久戦ともなれば、まず先に彼女が力尽きてしまうのだろうと、誰もが掛け布団の勝利を頭によぎらせた……ー その時だった。 “トントントンー……ッ” 部屋の扉がノックされた。 「しぃーちゃーん。」 扉の向こうから彼女を呼ぶ声が聞こえる。 とても穏やかで、聞いていて癒やしを感じる女性の声。自然と眠りにつけてしまいそうなほど……ー。 “トントントントントントンー……ッ” 「しぃちゃん!起きなさーい。」 だが扉の向こうの女性は、そんな声色とは裏腹にどうやら“しぃちゃん”を起こしに来たようだった。 一方、掛け布団と激戦を繰り広げていた“しぃちゃん”。 声が届いたのか、一瞬ピタッと静止した後、 ガバッー…… 「ぷはーっ」 っと、布団の茂みからその姿を現した。 それは本当に“小動物”という言葉の似合う、小柄な可愛らしい少女だった。
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