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このまま持久戦ともなれば、まず先に彼女が力尽きてしまうのだろうと、誰もが掛け布団の勝利を頭によぎらせた……ー
その時だった。
“トントントンー……ッ”
部屋の扉がノックされた。
「しぃーちゃーん。」
扉の向こうから彼女を呼ぶ声が聞こえる。
とても穏やかで、聞いていて癒やしを感じる女性の声。自然と眠りにつけてしまいそうなほど……ー。
“トントントントントントンー……ッ”
「しぃちゃん!起きなさーい。」
だが扉の向こうの女性は、そんな声色とは裏腹にどうやら“しぃちゃん”を起こしに来たようだった。
一方、掛け布団と激戦を繰り広げていた“しぃちゃん”。
声が届いたのか、一瞬ピタッと静止した後、
ガバッー……
「ぷはーっ」
っと、布団の茂みからその姿を現した。
それは本当に“小動物”という言葉の似合う、小柄な可愛らしい少女だった。
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