血の雨

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二千十二年 秋─ 時刻は午後五時。 ブランコと滑り台だけの小さな公園。 夕日に照らせれながら少年と少女はブランコをこいでいた。 少年の名はソラ。 小学六年生。 あどけない顔をしたどこにでもいる小学生だ。 少女の名はユミコ。 ソラの幼なじみである。 「ね、ねえソラ君」 「何?」 「そ、ソラ君は好きな子とかいるの?」 「な、きゅ、急に何言い出すんだよ」 突然のことで言葉がつまる。 「私ね、前から」 その先を言うおうした時、ソラの目に水滴がはいり思わず声をあげてしまった。 「どうしたの?」 心配そうにユミコが見つめているのがわかった。 ソラは大丈夫 と言わんばかりに笑顔を見せた。 しかし、何だったのだろうか。 一瞬、自分の身体が他人の身体に変わったような感覚に陥ったようだ。 そんなことを考えているうちに 一滴、二滴 ソラの身体を水滴がうちぬく。 目を凝らして見ると水滴は少し赤みを帯びていた。 「赤い…雨?」 次第に激しくなっていく赤い雨。 ユミコは不安を隠せない様子だった。
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